注目を集めるハーブの有効性研究
近年の研究により、野菜・果物、そしてハーブに含まれる成分を日常の食生活の中で摂取することで、生活習慣病の予防につながることが明らかにされてきました。さらに近年、ハーブに関心が集まりだしたのは、単に有効成分が含まれるという理由だけではありません。スパイスによる香りづけ、風味づけは食生活を豊かにし、料理をおいしくする手段として、多くの人々の食生活に取り入れられるようになってきたのです。
ハーブの成分と効能
世界中で利用されているハーブは、数万種類にも及ぶと言われています。それらのハーブは様々な薬効成分を持ち、私たちの体や心に働きかけ、バランスを整えてくれます。科学的なアプローチによりあらゆる成分の効能が実証されていますし、まだ解明はされていなくとも古来から経験的に利用され続けているものもあります。ここではよく目にする、ハーブの代表的な成分15種類を紹介していきます。
ハーブの代表的な成分とその特徴
アルカロイド
アルカロイドは、窒素を含み、塩基性を示す天然由来の天然化合物の総称です。強い苦みがあります。強い薬理作用を示すものもありますが、毒性を示すものも多くあります。向神経薬や幻覚作用、神経の興奮作用などがあります。アルカロイドの代表はアヘンから分離されたモルヒネです。コカインやフグの猛毒であるテトロドトキシンもアルカロイドの一種です。その他、カフェイン、パーキンソン病の治療薬であるアトロピン、ドーパミンなどもアルカロイドの一種です。
クマリン
クマリンは芳香族化合物の一種で、香料としても使用されています。桜餅の天然の香り成分です。シナモンやコーヒーの香り成分もクマリンの一種です。アルコールなどの揮発油に溶けやすいですが、水にも溶けるので、ハーブティーにしたときに微量含まれます。バニラに似た甘い芳香を持ちますが、苦い味がします。抗酸化作用や抗菌作用があります。
サポニン
サポゲニンと糖から生成される配糖体の総称です。水に混ぜると泡立ち、天然の界面活性作用を示します。そのため、サポニンを含む植物を昔から洗濯やシャンプーとして使っていた国が多くあります。生薬にサポニンを含むものが多く見られます。朝鮮人参もその一つです。種類により、去痰、血糖値上昇抑制といった作用があります。
精油
精油は揮発性の芳香物質です。アロマセラピーでは、植物の精油部分のみを抽出し、香りとその作用を楽しみます。脂溶性物質ですが、ハーブティーにしたときに微量含まれます。アロマセラピーにおいて、精油には様々な作用がありますが、主なものには抗菌、抗炎症、鎮静作用などがあります。
タンニン
タンニンはタンパク質、アルカロイド、金属イオンと結合し難溶性の塩を形成する水溶性化合物の総称です。古くから皮をなめすために使われてきました。強い苦みがあり、収斂作用、止瀉作用、整腸作用などがあります。収れん作用を持つ物質には止血、鎮痛、防腐などの効果があり、化粧品や医薬品として用いられます。ワインや柿に多く含まれます。渋柿を干し柿にして甘さを出すのは、タンニンの働きです。また、お茶に含まれるカテキン類もタンニンの一種です。
苦味質
苦味を感じさせる化合物の総称です。アルカロイド、シナリンなど、様々な物質が含まれます。苦み成分は唾液を分泌させるので、消化促進や食欲増進、健胃をもたらします。また、強肝作用、利胆作用、緩下作用もあります。
粘液質
水分を吸収するとゼリー状になる、粘りを出す物質の総称です。主に多糖類からなります。粘り気は、粘膜を保護し、痛みをやわらげます。熱を保ったり、保湿の作用もあります。
ビタミン
ハーブの中には多くのビタミンが含まれています。B群とCは水溶性、A,D,E,Kは脂溶性です。基本的に抗酸化作用があり、老化防止や美容に効果を発揮します。
ビタミンAはレチノールとも呼ばれ、βカロチンが体内に吸収されるとビタミンAになります。抗酸化や目の機能、皮膚粘膜にも良く、美容に効果的です。
ビタミンB群はニキビや肌荒れに最適です。抗酸化作用や美白作用があります。
ビタミンCは水溶性の抗酸化物質です。メラニンの色素沈着の防止、コラーゲンの生成に関わります。老化防止や美容にいい成分です。ビタミンEと一緒に摂ることで、相乗効果があります。
ビタミンEは脂溶性の抗酸化物質です。他の物質の代わりに酸化され、他の物質が酸化するのを防ぎます。代謝促進や老化防止、動脈硬化や内分泌系の不調に作用します。
フィトステロール
植物由来のステロールをフィトステロールと言います。動物由来のものはコレステロールです。脂溶性ですが、ハーブティーにしても微量含まれます。コレステロールの吸収を抑え、減少させます。
フェノール酸
ポリフェノールの一種です。ポリフェノールはポリ(たくさんの)フェノールという意味で、ほとんどの植物に含まれ、種類は数千に及びます。その一部がフェノール酸と呼ばれ、フェノール酸にはクロロゲン酸などが含まれます。主に消化器系や代謝に関わります。
フラボノイド
フラボノイドもフェノール酸と同じくポリフェノールの一種です。さらに、カテキン、タンニン、イソフラボンなどがフラボノイドの一種です。アントシアニンをはじめとした天然の色素と知られる物質も多くあります。紫外線吸収、抗酸化、抗菌、抗炎症、発汗、利尿、鎮静など様々な作用があります。
ミネラル
ミネラルは有機物に含まれる炭素・水素・窒素・酸素以外の必須元素のことを指します。人の体内では生成されません。鉄、カルシウム、カリウム、亜鉛、ケイ素などがあります。炭水化物やタンパク質、脂質の代謝に関わり、血液、骨、歯、筋肉の調整に大きく影響します。
樹脂
木の樹皮から分泌される樹液に含まれる物質です。水に溶けませんが、ハーブティーにも微量含まれます。フランキンセンスやベンゾインをはじめ、アロマセラピーの精油としても多く使われます。
糖類
炭水化物から食物繊維を除いたものを「糖質」といい、さらに糖質から多糖類や糖アルコールなどを除いた、単糖類と二糖類の総称を「糖類」と言います。果糖、ぶとう糖などが含まれます。糖類は脳、神経系などの活動のエネルギー源となります。
配糖体
配糖体は、糖類と、糖以外の成分が結合した化合物です。沢山の種類がありますが、多くが強心、利尿、緩下の働きがあります。